失敗を乗り越えて生産者と共に成長していく 光岡大介さん
ファームアンドカンパニー株式会社の代表取締役で「野菜ビストロ レギューム」「オーガニックカフェ&ショップ 愛農人」の経営者、『兵庫食べる通信』編集長の光岡大介さんにインタビューさせてもらいました。
僕が光岡さんと初めて出会ったのは、光岡さんが神戸の摂津本山で「あおゆず」という小さな八百屋さんを経営していた時でした。
その後光岡さんは、「愛農人」、「はたんぼ」を経て、2011年、生産者など約50名の株主からの出資によりファームアンドカンパニー株式会社を設立し、代表に就任されました。食・オーガニックの分野でずっと事業を行ってきた光岡さんに、事業にかける想いやこれから進めようとしている事業について伺ってきました。
聞き手 coboto bakery 店主 酒井:パン作りなどを通じて農家を応援したいと考えている。自身の働くスタイルや店舗をどこに構えるかを検討中。http://cobotobakery.com
「食」の世界をあきらめない理由
(酒井):今までの事業で数々の失敗を経験したとのことですが、それでも食・農の分野をあきらめずに事業を継続していこうと思ったのはなぜですか。
(光岡):異業種から新規就農を行い、一生懸命頑張っているたくさんの農家との出会いが大きいですね。この素晴らしい人たちが作り出す食べ物を都会の人達に届けたい、その一心でここまでやってきました。
(酒井):今までの事業から学んだこと、改善されたことはありますか?
(光岡):野菜をそのまま売るだけとなると、経営が難しいこともあるので、シェフやデザイナーなど、専門家の力をプラスさせることで、野菜に付加価値をつけるように工夫しました。例えば2013年に立ち上げた食品ブランド「Deliceterre(デリステール)」は、各分野のプロが集まって立ち上げた事業です。
http://deliceterre.com
生産者と一緒に成長できるような事業
(酒井):現在、力を入れていることはなんですか?
(光岡):都会にいると野菜もただの商品になってしまうので、その野菜を丁寧に作っている農家のファンをもっと増やしたいですね。そのために、マルシェで生産者から直接買う機会を増やしたり、「食べる通信」で農家の情報を直接消費者に届けたりしています。
(酒井):光岡さんは、事業を通じて様々なことを実現されていますが、まだ実現できていないこと、これからやりたいことはありますか?
(光岡):農家の方と農業をやりたいです。有機農業を職業として選択する人は、昔に比べると少し増えたと思いますが、やはり大変な職業なので、まだまだハードルは高いですよね。
ですので、有機農家という職業を、頑張れば報われるような職業にしたいんです。家族単位でやっているものを共同で行えるように、兵庫で一番大きな農場を持つ農業生産法人を立ち上げ、そこで生産されたものを取りまとめて流通まで行いたいですね。
都会の事業だけ成功しても意味がなくて、農家も一緒に成長できるような事業に結びつけたいと考えています。
終わりに
インタビューの最後に、光岡さんがなぜ食・農の事業を続けていきたいかを話してくれました。
「人が生き生きと生きていけるかどうかは、命のルーツである食べ物とつながれるかどうかが大きいのではないかと思っています。その食べ物が作られている畑のエネルギーは大きく、都会の人を畑にお連れすると、皆さん元気になります。だからこそ、僕が食・農の事業を続けることで、作り手と食べる人が出会う場を増やし、生きる実感を持つ人をたくさん増やしたいと思っているんです。」
インタビューを終えて、僕は光岡さんのことを、本当に視野の広い人だと改めて実感しました。
生産者のことだけじゃなく、消費者がどうやったら生きる実感を得られるか、これからのオーガニックの分野が成長するためには何が必要か、レギュームで働く従業員が生き生き輝くためにはどうすればいいか、様々なことを本当に真剣に考え、答えを出している。こんな方とつながりを持てたことを誇りに思います。
「野菜ビストロ レギューム」について
今回光岡さんにインタビューさせてもらった場所「野菜ビストロ レギューム」は、ビルの8階という場所にもかかわらず、どんどんお客さんが来店されて、ずっと満席状態でした。料理に使用する素材は兵庫県産にこだわっており、素材の持ち味を存分に引き出された料理をいただくことができます。
Yasai Bistro Les Legumes
野菜ビストロ レギューム
住所:〒663-8204 兵庫県西宮市高松町5-39 なでしこビル8F
阪急西宮北口駅南側すぐ。みずほ銀行・駿台の入るビルの8階です。
西宮ガーデンズから約2分、芸術文化センターより約1分。
http://legumes.jp
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