インボイス対策としてお店側(買い手)ができること

スポンサーリンク

インボイス対策としてお店側(買い手)ができること

(はじめに)


先日「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出してきました。
事業をしてない人はなんのこっちゃでしょうが、これがインボイス制度から農家などの作り手を守る唯一の方法になると思います。ただ、この方法には注意点があるし、効果も限定的なので説明が必要ですが。

インボイス制度が副業・個人事業に与える影響などについて、今まで2回記載しましたが、そのポイントをざっくりまとめると

・今後、仕入れ税額控除をするには適格請求書発行事業者の申請・登録が必要になりますよー
・農家や作家、パン職人などの免税事業者は消費税や経理事務負担が増えますよー
・そのためにはビジネスのやり方や経理システムを変更する必要がありますよー

ってことで、制度の概要や作り手(売り手)としてできることを書いてきたので、次は、作り手から納品を受ける「お店側(買い手)としての対応」を考えていきましょー。

(過去記事)
インボイス対策として作り手(農家、作家、パン職人など)ができること
副業・個人事業を排除するインボイス制度の衝撃を考える

(適格請求書発行事業者に登録してもらう)

消費税の仕入れ税額控除を行うには、適格請求書発行事業者の発行する請求書が必須になるので、農家などの作り手に対してその旨を説明し、適格請求書発行事業者に登録してもらう。
これが、インボイス制度に基づいた一般的なやり方でしょう。ただ、このやり方だと前回の記事にあるとおり、農家などの作り手は課税事業者となり、大きな負担が増えることになります。

(消費税簡易課税方式を選択する)


それを避けるためには、お店側(買い手)は「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。この届出を行えば、農家などの作り手が適格請求書ではなく、従来の請求書であっても、仕入れ税額控除を行うことができるのです。
「簡易課税方式」とは消費税額計算の一つの方法ですが、名前の通り、簡易に税額計算する方法です。本来は仕入れ取引全てを記録し、そこから仕入に対する消費税額を計算する必要があります。(これを本則課税方式(もしくは原則課税)と言います。)
ただ、この方法はかなり事務負担が増えてしまうので、事務の簡素化を図るために設けられているのが「簡易課税方式」です。

(簡易課税方式だとインボイス制度の負担が避けられる理由)

「簡易課税方式」では仕入れ取引にかかる消費税額を計算する必要はなく、売上に対する消費税額にみなし仕入率をかけることで、納税する消費税額を算出します。みなし仕入率は業種ごとに決まっているもので、例えば卸売業だったら90%、製造業だったら70%といった具合です。

ではなぜ「簡易課税方式」だとインボイス制度に基づく適格請求書が不要になるのでしょうか?
そもそも「インボイス制度」というのは、「軽減税率制度」における複数税率に対応した仕入税額控除の方式として導入されるものですが、「簡易課税制度」は仕入率が業種ごとに一律に決まっており、実際の仕入れにおける消費税額を算出する必要がないからです。で、繰り返しになりますが、この「簡易課税方式」が、作り手(売り手)の新たな負担を避ける唯一の手段となります。
この「簡易課税方式」を選択するには「課税売上高が5,000万以下」であることが必要になります。社員を何人も雇用しているところや法人成りしているお店は、5,000万以上いってるところも多いので、そういうお店は「簡易課税方式」は選択できません。

(簡易課税方式の注意点)


「簡易課税方式」を選択すれば、何も問題がないわけではなく、当然デメリットもあるので、インボイス対策で何がなんでも「簡易課税方式」を採用するのも違うと思います。さらに言うと、「簡易課税方式」は会計検査院により指摘が入っているので、ここで書いているやり方がずっと有効かも分かりません。
また、作り手(売り手)から見ると、買い手のお店が「簡易課税方式」を採ってるかどうかなんか分からないですし、そうでなければやはり課税業者にならざるを得ません。そのためには売り上げを大幅に上げないと対応できないですが、それには時間が必要になります。なので、早めにこの制度について真剣に考えないといけないと思うのです。

もちろん益税の問題は大きいと感じますが、だからといって消費税増税で景気が冷え切ったこのタイミングでやるかねー。
作り手(売り手)にとっては致命的な負担になりかねないインボイス制度、これから税務署主催の勉強会が増えていくと思いますが、coboto bakeryも勉強会主催できると思うので、ご希望あれば連絡くださいませー。

スポンサーリンク
2019-12-29 | Posted in 生き方・ビジネス・食Comments Closed 

関連記事