パン作りにおける乳酸菌の役割とは

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パン作りにおける乳酸菌の役割とは

(はじめに)


ずーっと雨ですが、今回もオープン前からたくさんのお客様でした。ありがとうございました。
しかし厨房内の湿度も高くて、パン作りには厳しいコンディションが続きますねー。

さて、ようやくいちじくのデニッシュをお出しすることができました。まだ入荷が不安定なので、継続的にお出しできるかは分からない状態です。

(酵母と乳酸菌の関係)

先日、モルト(酵素)についてざっくりまとめたので、今度は乳酸菌についてざっくりまとめてみました。
「パンを作るのに大事なのは酵母でしょ?発酵種(ルヴァン)は入れてるけど、乳酸菌は入れてないよ。」
って方もいらっしゃると思いますが、発酵種を作ってる過程で、乳酸菌が勝手に発生・増加してるんです。酵母単体では発酵を行えないというのは、「パン作りにおけるモルト(酵素)の役割とは」で書いたとおりですが、乳酸菌もアミラーゼを有しているので、酵母のエサとなる糖類を乳酸菌が用意してくれます。酵母はそれを利用して増加・発酵していきます。なので、酵母と乳酸菌は共存関係にあるといえます。
(酵母については、「パンにおける「酵母」について整理してみました」を参照してください。)

(パン作りにおける乳酸菌の役割)

さて、乳酸菌はパン酵母の発酵に役立っている以外にも様々な役割を果たしているので、それらを見てみましょう。
乳酸菌は糖類を分解してエネルギーを作り、アウトプットとして乳酸を排出します(乳酸発酵)。すると生地中のpHが低下(酸性に傾き)し,他の雑菌の繁殖を抑制する効果を持ちます。
また乳酸菌はタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)も持っており、香味成分でもあるアミノ酸を生成することができるし、そうすることで人間にとって消化吸収しやすいパンを作ることもできます。
さらにそのアミノ酸は糖と熱が加わるとメイラード反応を起こし、食欲をそそる風味や褐色の色を生み出すことも知られています。

(さいごに)

パン作りというというと、酵母ばかりが脚光を浴びますが、上述の通り乳酸菌の果たす役割は非常に大きいと言えます。なので、僕はハード系のパンには発酵種を利用し、噛めば噛むほど旨味が出てくるようなパン作りを目指しています。
パンにおける発酵を科学的に分解して見ていくと、目に見えない微生物がどう動いて、最終的に人間にどういう影響を与えるのかがなんとなく見えてくるので、ほんと面白いなぁと。ここまでいくとマニアックすぎて、話が合う人が少なくなりますけど、パン作りをビジネスにするには必要な知識だと思います。って言っても、まだまだ知らないことだらけですが。
パンの専門学校や有名店では、こういう科学的な話って講師やシェフから教わるもんなんでしょうか?

ってことで、明日は小雨程度であれば丹波のブルーベリー農園に行ってきますー。

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2020-07-14 | Posted in パンについてComments Closed 

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