アグリシステムさん訪問(インタビュー編)

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「農を基盤として、社会の課題を総合的に解決していきたい」

はじめに

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先日、フロレスタキッチン・コドモの店舗設計などを手がける常深さんと北海道へ向かいました。
常深さんは僕のパンやビジョンの良き理解者で、設計業の傍ら、本物の食を神戸に持ち込もうと、各地を飛び回っておられます。
さて、今回のメインの目的は北海道のアグリシステムさんの話しをじっくり伺うことで、知り合いのパン屋さんからアグリシステムさんの話を聞いていたので、いつかお会いしたいと思っていました。

神戸空港から2時間弱で新千歳空港。空港からレンタカーで2時間くらい飛ばして、無事にアグリシステムさんに到着しました。
出迎えてくれたのは伊藤専務、遠藤さん、須田さん。なんと3人ものスタッフで対応してくれました。まず伊藤専務が会社概要を説明してくれました。

(取材・文・撮影:coboto bakery 店主 酒井)

アグリシステムさんの会社概要

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(伊藤)「アグリシステムは、豆や雑穀の卸売り業として1988年に創業した会社で、民間による小麦流通が可能になった6年前から、小麦の製粉や流通を行っています。農家さんと直接やりとりをして、農産物の集荷・加工・流通・販売まで一貫した事業を行っているのが特徴です。そのなかで、フィルドマンという農家さんの畑をまわる専門のスタッフがいまして、彼らが農薬・化学肥料に頼らない、土作りを基本とした健全な作物を作れるようにコンサルティング的な役割を果たしています。
また、積極的な情報公開を行っていこうということで、雑穀業界では唯一であるトレーサビリティを取り入れています。これにより、いつ、どこで、どのような肥料や農薬を使ったのかを知れるように、消費者の方がトレースできるようになっています。」

(常深)「20年前以上にオーガニック事業に取り組んでいたなんてすごいですね。その時代、日本では珍しかったんじゃないですか?」

(伊藤)「当時でも、個人でオーガニックに取り組んでいた農家はいらっしゃったのですが、企業として取り組んでいたところはほとんどなかったと思います。」

(伊藤)「そして、農家とパンの作り手、食べる人との対話を作ることで、よりよい生産・流通につながるように考えています。
最終ゴールがオーガニックビレッジになるんですが、農を基盤として、食、 医療、教育などの社会の課題を総合的に解決していきたいというミッションをもった会社であるということをご理解いただけたらと思います。」

(伊藤)「そういったミッションを持っていますので、自社で100ヘクタール以上の有機農場も持っており、そこで小麦・大豆・野菜を育てています。農法としては、地球環境への負荷を下げるためにも、バイオダイナミック農法というものを推進しています。」

(酒井)「ドイツのシュタイナーが提唱した農法ですね?」

(伊藤)「え。よくご存知ですね。」

(酒井)「農家巡りをしてるなかで、バイオダイナミック農法を取り入れてる農家さんと出会ったことがあるんです。」

(伊藤)「そうなんですね。単純にオーガニックの品質を上げるということではなくて、地球環境の負荷を下げたり、宇宙の生態系を生かした農法を取り入れたかったんです。」

(伊藤)「あと、お客さんと直接つながるためにナチュラルココというオーガニックショップ・カフェや直営ベーカリーを運営しています。
それと、現在契約農家さんが全土で500名いらっしゃいまして、その中で小麦農家さんは200名程度です。
で、あとは麦の風工房という製粉工場、その製粉の際に出た残渣物を有機肥料に変えて農家さんに使ってもらう、ぼかし肥料の製造工場などもやっています。以上がアグリシステムの取り組みの簡単な説明になります。」

オーガニックの取り組みを広げるには

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酒井「関西では個人で有機農法に取り組んでいる方が多いんですが、面的な動きというのはまだまだ少ないのが現状です。アグリシステムさんは、どのようにして無農薬やオーガニックの農法を広げていってるんでしょうか?」

(伊藤)「そこはやっぱり農家さんが主体的に切り替えるしかないと思います。十勝には6000件農家さんがいらっしゃいますが、そのうちオーガニックの農家さんは25件です。0.04%程度しかいらっしゃいません。」

(酒井)「十勝でもそれくらいしかいらっしゃらないんですね。」

(伊藤)「先進国では5~7%ですので、日本でもこれから10年20年で変わってくるとは思います。」

理念を伝える新しい流通

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(酒井)「アグリシステムの小麦を使いたいというパン屋はどの地域が多いですか?関西って増えてきてるんでしょうか?」

(伊藤)「全国的に見るとやはり東京が多いです。関西は規模の割にはものすごく少ないですね。やはり流通が課題なんですよね。」

(常深)「僕らも流通をやっていきたいんですが、ただの流通をしたいんじゃないんです。理念を伝えない流通なんて無意味ですからね。」

(伊藤)「ほんとうにそうですね。理念でものづくりをして、理念を共有できる方に小麦をパンにしてもらって、消費者の方に伝えてもらってという流れを作ることが、新しい流通の形につながると思っています。」

(遠藤)「当然理念を伝えていくのが大事なんですが、その反面、小麦粉の販売という事業でもあって、そこには売り上げがあって、利益があってというものがあるので、その両立を目指していかないといけないと考えています。」

(常深)「そこを目指していきたいですね。それと、神戸のシーズというお店で酒井さんのパンを出したら、美味しいと反応する人が多いんです。それは理念に基づく、素材の説得力があるからだと思いますよ。」

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アグリシステムさん訪問(施設見学・まとめ編)に続きます

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2016-08-01 | Posted in クリエイターNo Comments » 

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